[ 連載 ]

正しい新聞の読み方

第6回 福山雅治の結婚が1面に載らない理由

2015年2月4日

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一口に新聞記事といっても様々なタイプがあります。分類の方法にもいろいろありますが、まずは大きさや紙面上の位置に注目してみましょう。

 大きさと紙面上の位置による分類

――トップ(アタマ)、サイド(カタ・ワキ)、段モノ、ベタ、短信

  「一面の見方」などでも触れましたが、新聞社はニュース記事を重要度によって格付けします。この格付けはタテ見出しの段数などに加え、紙面上の配置によっても表現されます。具体的には、右上から左下にかけて、重要な記事から順に並べるのです。Twitterでシェア

  あるページの中で最も重要なのがトップ記事です。1面はすべてのページの中で最も重要度が高いので、「1面のトップ記事」は、その日の最重要ニュースという位置付けになります。Twitterでシェア

 トップ記事は原則としてページの右上に置かれます。ただ、見開きの場合は右ページのトップ記事は左上に置かれる場合があります。

  あるページで2番目に重要な記事は「カタ」「サイド」などと呼ばれます。トップの隣、1面であればその左か左下の位置に置かれます。新聞社によって呼び方や優先順位は多少異なります。例えば日経新聞ではトップを「アタマ」、サイドを「ワキ」と呼びます。

  サイドの記事は、トップ記事を補足する目的で置かれることもあります。この場合、主となる記事を「本記」と呼び、サイドはその内容を受けて書かれた「付属品」という位置付けになります。Twitterでシェア

 例えば「日本人がノーベル賞を受賞した」という記事が本記なら、受賞者の人となりや受賞までの道のりなどを「サイド」でつけるわけです。こうした記事は「サイドストーリー」とも呼ばれます。

  このように新聞紙面では、何本かの記事を組み合わせることでニュースを多角的に掘り下げるという手法がよく使われます。例えば「本記」があって、「サイド」があって、記者会見での一問一答や用語解説が載る、といった形です。Twitterでシェア 

トップ記事など

   このことも、ニュースサイトで新聞を読む際に気をつけなければならない点です。というのも、ネットではこうしたひとまとまりの記事群を、バラバラにして流すケースが多いからです。

  紙面上では、ひとまとまりの記事を右上から左下にかけて順番に読めば、ニュースの概要から背景まで、スムーズに頭に入ってくるように構成されています。同じ紙面で読むわけですから、それぞれの記事に盛り込まれる事実や解説は、なるべく重複しないように書かれています。

  ところが、ニュースサイトの方では、その一部しか流していないというケースがあります。例えば本記だけ流してサイドを流さなかったとしましょう。ある情報がサイド記事の方に入っていた場合、ネットでは読めないことになります。

  仮に新聞社がネットに全記事を掲載していたとしても、ヤフーニュースなど、複数社のニュースを集めたキュレーションサイトで読む人は、例えば読売新聞の本記と、朝日新聞のサイド記事を併せて読む、ということが起こり得ます。すると、情報の重複ばかりが多くて、重要な情報が抜け落ちる可能性もあるのです。

  実際、ツイッターなどのSNSでニュース報道についての書き込みを見ていると、「⚪︎⚪︎新聞は重要なポイントを書いていない。事実の隠蔽だ」といった批判を見かけます。しかし紙面で読むと、「隠されている」とされている事実がちゃんと書いてあることが少なくありません。

  さて、あるページでの重要度が3番目以下の記事は、一般に「段モノ」と呼ばれます。「3段の見出し」「2段の見出し」といった風にタテ見出しの大きさで重要度が区別されるからです。

  見出しが1段の記事は「ベタ」と呼ばれます。このうち、活字の大きさが少しだけ小さい記事は「短信」と呼ばれます。「ベタ」よりさらに1ランク下という位置付けで、あまり重要ではない行事や、政府や企業などの発表をごく短く伝えるものです。最近は、短信だけ横書きで組む新聞も増えています。

  次に、記事の「形式」による分類を覚えておきましょう。

記事の形式による分類

――コラム(囲み、小囲み)、雑報スタイル、一問一答(Q&A)

  正方形や長方形の枠で囲まれた記事を「コラム」と呼びます。新聞では、このうち比較的大きなものを「囲み」、小さいものを「小囲み(こがこみ)」と呼んで区別しています。

  コラムは単純な事実報道(ストレートニュース)ではなく、「読み物」であることを示しています。例えばニュースにまつわるこぼれ話や、ニュースの背景をルポルタージュ(現場の描写)を交えて掘り下げる企画記事などでよく使われます。Twitterでシェア

  このため、コラムにはニュースと異なり「見出しによる格付け」が適用されません。必ず見出しはついていますが、それがヨコ見出しであろうが、3段であろうが、格付けとしての意味は持たないのです。

  ストレートニュースを小囲みにすることもないわけではありません。ただ、これも「ちょっと面白い話」である場合に使われる手法です。長々と解説をつけて大きな見出しを立てるほどのニュースではないものの、話題性があるので枠で囲むことで目立たせるわけです。

 最近では、福山雅治さんの結婚を報じる記事を、全国紙が社会面の小囲みにしていました。スポーツ紙ではないのでトップ記事や3〜4段の記事にするわけにもいかず、かといって話題としては大きいので枠で囲ったのだと考えられます。一方、各社ともサイトではトップ級の扱いをしていました。

  なお、ストレートニュースを報じる段モノやベタなど囲みではない記事は「雑報スタイル」などと称されます。

  1面の左上にはときどきシリーズ記事が載ります。この連載はたいてい100行前後と長いので「小囲み」ではなく「囲み」です。

 最近は、囲み記事が1面に収まり切らない場合、2面以降に続きを掲載する(ジャンプする)欧米風のスタイルもよく見るようになりました。

 読者の高齢化が進んだため、新聞各社は老眼の人でも読みやすいよう、活字を大きくしています。その分、1ページに掲載できる記事の分量が減っているのです。

  一方、同じ一面の『天声人語』(朝日新聞)や『編集手帳』(読売新聞)などは小囲みです。定義があるわけではありませんが、大きさが1〜3段のコラムをこう呼びます。

  コラムと同様、ストレートニュースではないものに、一問一答のインタビュー記事があります。記者の質問に対し、相手が答えるという形式です。答える側は政治家や芸能人など実在の人物ですが、解説記事では記者が架空の質問者と回答者を設定し、やり取りを「Q&A」形式で書くこともあります。

  用語解説も記事の一種です。単独ではなく、記事に専門用語などが出てきた場合、本文に付属する形で掲載されます。こうした記事は「とはモノ」といいます。実際に「〜とは」という書き方はしませんが、説明書きであるという意味でこう呼ばれるのです。