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正しい新聞の読み方

第5回 「超弩級ニュース」の見出しは?

2016年1月26日

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見出しの種類

前回、見出しは「ミシュランの星」のように、記事の重要度をだいたい5段階で表していると説明しましたが、実は他にも様々な仕掛けが施されています。

  実際、ニュースの重要度が「段数」で表されていることを知らなかった人でも、見出しの「大きさ」「太さ」が重要度とほぼ比例していることには気づいていたはずです。紙面は、見出しについての細かい法則を知らなくても、直感的にこうした判断ができるように工夫されているとも言えます。

  例えば、見出しには、普通の活字だけで構成されているものと、背景などの装飾をつけたものの2種類があります。後者は「カット見出し」と呼ばれ、記事を印象付けるときに使います。Twitterでシェア

  事件の疑惑が深まったことを報じる記事で、渦巻きなどの模様を背景にしたカット見出しを見たことがあるかもしれません。これも代表的な手法の一つで、もやもやした感じが読者に伝わるようにしているのです。特集記事や連載企画などでは、その記事専用のイラスト風カット見出しを作ることもあります。

  こうした装飾付きの見出しの中で、最も「重い」とされるのが、「黒地に白抜きのカット見出し」です。字体はゴシック体が使われることが多く、理屈抜きでニュースの衝撃の大きさが伝わるようになっています。Twitterでシェア

  調べてみると、全国紙朝刊の1面トップが「ヨコ見出し、黒地に白抜き」だったのは、2014年で4〜5%ほどでした。おそらく今年は安保法案やノーベル賞をめぐる報道などの影響で、もっと多いはずです。一般的には「月に1回あるかどうかの大ニュース」で使われる見出しだと考えていいでしょう。Twitterでシェア

 

「超弩級の見出し」とは?

  では数年に1回あるかどうかの「超弩級ニュース」だと、どんな見出しになるのでしょう。

 これは東日本大震災の翌日の紙面を見れば分かります。「黒地に白抜きゴシック体のヨコ見出し」は当然ですが、さらに、ヨコ見出しの幅が通常より太くなるのです。

 一般に、年に1回あるかないかの大ニュースでも、ヨコ見出しの縦幅は記事1段分です。これが1段を超えてしまうので「2段ぶち抜き」などと呼ばれます。

  このように見出しの世界は奥が深いのですが、記事の重要度を判断する上では、

 (1)段数・・・1〜5段

(2)ヨコ見出し・・・プラス1〜2段分の重要度

(3)ヨコ見出しが黒地に白抜き・・・大ニュース

(4)ヨコ見出しの太さ(縦幅)が1段以上・・・特大ニュース

 という4つの要素を基準に評価すれば、十分だと思います。基本的には5段階の格付けで、「重要度5」についてはさらに上の「超弩級」がある、というイメージです。

  タテ見出しについてもう少し詳しく見ておきましょう。タテ見出しは1本だけのこともありますが、トップ記事などでは複数に分かれています。この辺はネットの見出しと大きく異なります。

  紙の新聞の場合、見出しは複数が一体となって記事の内容を要約しています。見出しを読めば、本文を読まなくても概要が理解できるようになっているともいえます。新聞では、見出しそれ自体が「読み物」なのです。Twitterでシェア

 ネットニュースの見出しとの違い 

 これは当たり前のようですが、新聞を紙で読む場合と、ネットで読む場合で大きく異なる点の一つです。

 もちろんニュースサイトの見出しも、ある程度は記事の要約になっているのが普通です。ただ、ネットの場合はクリックが増えるほど広告収入が増える仕組みなので、「読者にクリックさせる」ために付けているという面があります。このため、見出しを読んだだけでは肝心なところが分からないよう、あえて内容を「小出し」にしているケースもあるのです。

  みなさんも、見出しに興味をそそられてクリックしてみたものの、期待したような内容ではなくて、「騙された」と思った経験があるのではないでしょうか。

 こうした本文と中身が一致していない見出しは、紙の新聞では「カラ見出し」と呼ばれ、原則として付けてはいけないことになっています。記事を書き直したときに見出しの側を修正するのを忘れて起きる「ミス」なのです。

  こうした紙とネットの違いは、最初に説明した「重要度の格付け」にもあります。そもそもネットの見出しには、こうした役割はありません。紙面から転載された記事であっても、「これはベタ」「これは3段」といったランク付けは分からなくなってしまいます。

  代わりにあるのが「よく読まれた記事ランキング」です。

 ネットの場合、「記事の格付け」は新聞社の判断ではなく、読者による一種の投票で決められていると言えるでしょう。サイトのトップに載せる記事も、「ネットで読まれそうな記事」を選ぶ傾向があります。

 このため、紙面では1面のトップ記事なのに、同じ新聞社が運営するサイトでは目立たない、というケースは少なくありません。

 同じ新聞社の同じ記事でも、紙面で読むのとネットで読むのとでは、こうした違いがあるのです。