[ 連載 ]

正しい新聞の読み方

第4回 紙面にニュースの「格付け」があるって知ってます?

2016年1月17日

201511_NTT_松林バナー_02

 紙の新聞を読むうえで何よりも大事なのが、「見出し」に込められた意味を知ることです。

  実は、紙の新聞の見出しには、ネットのそれにはない、様々な工夫が凝らされています。見出しの正しい見方を知っているかどうかで、新聞から得られる情報量はまったく違ってくるのです。

 ニュースの格付け 

 ところで、世の中には様々な「格付け」があります。世界的に有名なのが、レストランの評価を星の数で表した「ミシュランガイド」でしょう。

 この「星による格付け」はミシュラン以外にも様々なサービスが利用していて、みなさんも一度はお世話になったことがあると思います。「ぐるなび」のようなレストラン・ガイドもそうですし、「トリップアドバイザー」のような旅行ガイドでもこうした評価方法が導入されています。

 3〜5程度にランク付けして、ものごとの評価を教えてもらえるというのは、大変便利なのです。

  実は、紙の新聞のニュース記事にも、すべて同じような5段階の評価が明示されていると聞いたら、みなさんは驚かれるでしょうか。

  星マークこそ付いていませんが、ミシュランガイドで紹介されるレストランと同じように、記事は「重要度1」「重要度3」などと格付けされ、読者にも一目で分かるように示されています。Twitterでシェア言い換えれば、すべての記事に「オススメ度」が表示されているのが、紙の新聞の特徴なのです。

 (*鳥の足跡マークをクリックすると、下線部の要旨がツイッターでつぶやけます)

 しかし、新聞を読み慣れている人でも、紙面を見て「この記事は2」「この記事は5」などと言える人はほとんどいないと思います。一方、新聞を作っている人たちは、常にこの「格付け」を強く意識しています。

 記者にとっては、自分が書いた記事が「3」なのか「5」なのかは、その日に気持ちよく眠りにつけるかどうかを左右する、重大な違いだったりします。新聞社では、「格付け」を巡って記者が上司と大げんかをすることさえ珍しくありません。

 見出しが表すランキング

 もったいぶってしまいましたが、そろそろ新聞がニュースのランクをどのように表しているか明かしましょう。実は新聞では「見出しの段数」がミシュランガイドの「星の数」に当たります。

  見出しの段数と聞いても、多くの人はピンとこないかもしれません。

 ニュースが掲載されている面を改めて観察してみてください。新聞社や面によって異なりますが、記事は縦書きで1行11〜13字程度です。こうした横長の「記事の帯」が、1つの面に8〜12段くらい並んでいることが分かるでしょう。これが「段」で、新聞の情報を分析する上で重要な概念になります。

  次に、記事に付けられた「縦の見出しの長さ」に注目してください。例えば見出しが3段にまたがっていたら、そのニュースは重要度が「3」であることを表しています。Twitterでシェア

  例えば1面であれば、ニュースは重要度が高いものから順に、右上から左下に向かって配置されます。ですから、右上にあるトップ記事のタテ見出しは最も段数が多いはずです。おそらく4段か5段でしょう。

  一方、左下に向かって、タテ見出しの段数は3段、2段と少なくなっていくはずです。最も左下には、見出しが「1段」の記事があるかもしれません。こうした1段見出しの記事は「ベタ記事」と呼ばれ、その面の中では最もランクが低いことを表します。Twitterでシェア

  ただし、四角い枠で囲われた「コラム」や、横書きの記事などの場合、「見出しの段数=格付け」ではありません。あくまでもニュース記事の場合に当てはまる法則であることに注意してください。

  新聞によっては「見出しが5段」の記事がほとんどない場合もあります。例えば日経新聞は他紙に比べて活字が小さく、その分、段数が多いので、5段の見出しが比較的簡単に作れます。一方、紙面の段数が少ない新聞の場合、5段にすると見た目のバランスが悪くなるのです。

  そうした場合に登場するのが「ヨコ見出し」です。厳密な基準はありませんが、ヨコ見出しが付いた記事は、タテ見出しの段数に、さらに「プラス1段分以上」の重要度があることを表しています。Twitterでシェア細かく言えば、重要度を表す方法は他にもいくつかあるのですが、ここでは「タテ見出しに加え、ヨコ見出しまで付いた記事は重要度5」と覚えておけばいいでしょう。

 ランキングと記事の長さは関係ない

 これまで、ほとんどの人は「長い記事だから長い見出しが付いているのだろう」と考えていたのではないでしょうか。しかし、この「格付けのルール」を知って紙面を改めて観察すると、見出しの長さと記事の長さは必ずしも比例していないことが分かるはずです。

  実際、頻繁ではないものの、記事の字数は少ないのに、妙に長い見出しが付いている記事を見かけることがあります。例えば15〜20行くらいしかない記事なのに、見出しが3段立っているのです(見出しは業界用語では「立つ」「立てる」と表現します)。

  当然、かなり縦長のレイアウトになります。記事は1段が5〜6行しかないはずです。事情を知らない人が見ると「またまそうなっただけだろう」と思うでしょうが、そうではありません。「このニュースは重要度3だ」という判断がまずあって、それを表すために、わざわざ縦長のレイアウトにして「3段の見出し」を立てているのです。Twitterでシェア

  こうしたケースは、ニュースが締め切り直前に飛び込んできた時などに生じます。

  ニュースの第一報が、締め切り30分前にもたらされたとしましょう。編集作業を考えると、記者が原稿を書くのに与えられた時間は、10分もありません。経験が浅い記者であれば、記事を成り立たせる最低限の要素である「5W1H」を詰め込んだ文を15〜20行書くのがやっとでしょう。普通は事件の背景や社会への影響などを書くべきところですが、そんな暇もないわけです。

  もちろん、大したことがないニュースであれば「ベタ記事」で処理すればいいだけの話です。ベタ記事なら10〜15行もあれば十分です。

 ところが飛び込んできたのが重要なニュースや、特ダネだった場合、そうはいきません。記事を長くすることはできない代わりに、紙面レイアウトを工夫することで「ニュースの重要度に応じた長さの段」を立てるのです。

  こうした不自然に細長い記事を目にしたら、新聞社でどんなことが起きていたか、想像すると面白いかもしれません。記者やレイアウト担当者は、冷や汗を流しながら記事を書いたり、編集したりしていたはずです。

  実は、朝刊の情報量は新書1冊分にも相当します。Twitterでシェア朝の忙しい時間帯に、その中から必要な情報だけを探し出し、15〜30分で読むのはなかなか大変です。そうしたときは、「見出しの段数」を見て、読むべき記事を取捨選択すればいいのです。Twitterでシェア

  見出しについては他にも読み方のポイントがあるのですが、とりあえずは「記事の重要度を5段階の格付けで表している」と覚えておきましょう。